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【人生設計】父親が急逝。相続税はどのくらい? 何か対策ってできた?(後編)

父親が急逝した高木さん。相続税額の見積もりや対策などの後編記事です。

前回記事は→こちら

 

相続財産の額(課税価格)はどのように見積もるの?


相続では、被相続人の亡くなった日の翌日から10か月以内に、被相続人の住所地を所轄する税務署に相続税の申告書を提出します。その間に課税価格や相続税額の計算を行うことになります。 ここでは、相続財産について、その課税価格をどのように計算するのかを確認してみましょう。

 

【対象となる財産】

相続税の対象となる主なものは、土地、建物、有価証券(株式、公社債など)、預貯金、現金など、その他金銭に見積もることができる全ての財産を含みます。その以外に、みなし相続財産(下記ご参照)が対象になります。 

 

さらに相続開始前3年以内に被相続人から贈与された財産は、本来は相続人の財産ではなくなっているものの、相続税の対象となります。
一方で、葬儀費用等(お寺、葬儀社等への支払、タクシーなどの支払、お通夜に要する費用など)は相続財産から差し引かれます。
また、墓地、仏壇、仏具などは非課税財産として相続税の課税対象からは除外されています。

 

【みなし相続財産(生命保険など)】

「生命保険金」や「死亡退職手当金」などは、相続財産ではありませんが、相続税の計算上は相続財産とみなす財産です。ただし、非課税限度額が定められていて、一定限度額までは非課税となります。

 

非課税枠は、「生命保険金」、「死亡退職手当金」の区分ごとに下記の金額が定められています。
500万円×法定相続人の数  

 

【上場株式の課税評価額】

上場株式の評価は原則として次のうち最も低い価格により評価します。

・ 相続の開始があった日の終値
・ 相続の開始があった月の毎日の終値の平均
・ 相続の開始があった月の前月の毎日の終値の平均
・ 相続の開始があった月の前々月の毎日の終値の平均

 

【土地・建物の評価方法】

宅地の評価方法は、路線価が定められている地域については路線価方式によります。

路線価とは、道路に面する標準的な宅地の1平方メートルあたりの価格を指し、相続税を算出する基準となるものです。 国税庁が毎年7月に公表し、国税庁のホームページで路線(道路)ごとに確認することができます。

 

路線価方式では、設定されている路線価を基準に、奥行き、道路の数や位置、地形(不整形地など)などで補正をした価格に面積を掛けて算出します。 補正に用いる調整率には、奥行価格補正率や、角地などの場合に用いる側方路線影響加算率などがあります。

 

一方で、人があまり住んでいない農村や山林など、路線価が定められていない地域は倍率方式によります。 これは、宅地の固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて算出するものです。
建物の評価は、原則として固定資産税評価額により行います。

 

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【相続財産ー高木 幹夫さんの場合】 

● 札幌の自宅土地 

整形地を想定、奥行価格調整率を1.00 とすると、路線価を100千円/㎡とし、
課税価格=100(千円)×1.00×240=2,400万円

 

● 札幌の自宅建物
相当に古い建物のため、固定資産税評価額はかなり低い。ここではゼロと想定します。

 

● 株式
保有の株式について、上記4つの価格を確認したところ、いずれも前々月の毎日の終値の平均値が最も低くなったことから、これを用いて計算。

 

銘柄 株数 株価(円) 課税価格
(万円)
りそなホールディングス 5,000 587 294
ファーストリテイリング 300 43,056 1,292
富士通 5,000 618 309
合計 1,894

 

● 純金
相続時点の時価で評価 
課税価格=2,458万円

 

● 生命保険金(みなし相続財産)
保険金の控除額は 500万円×1人=500万円
従って、課税価格=3,000-500=2,500万円
上記を合計すると、相続税の課税価格=1億 3,752万円

 

 相続税額はどのくらい?


【基礎控除の引下げ】

税法改正により2015年1月1日より、遺産に係る基礎控除が引き下げられています。

  • 改正前: 5000万円+1000万円 × 法定相続人数
  • 改正後: 3000万円+600万円 × 法定相続人数

 

基礎控除の引下げとともに税率の変更が行われていて、

  • 最高税率が50%から55%へ引き上げ(取得金額6億円超の部分)
  • 取得金額2億円超~3億円以下の区分に対する税率の40%から45%へ引き上げ 

がなされています。

こちらの関連記事もどうぞご覧ください。
人生設計】【税金】相続税は改正でどう変わる? 母親の実家の相続にどのくらい影響あるの? 何か対策は?

 

【高木 幹夫さんのケース】

基礎控除額=3000+600×1人=3600万円

課税遺産総額は1億152万円
これによる相続税額の概算値は、約2360万円となります。

 

高木 幹夫さんは、相続税を支払後、札幌の土地、約5100円程の現金、それに4300万円ほどの投資商品(株式+金)を得ることになります。

 

もし仮に、相続発生が昨年だったと仮定すると、
基礎控除額=6,000万円
課税遺産総額は7,752万円
これにより相続税額の概算値は、約1626万円となり、なんと今年の場合に比べ、730万円ほど少ない結果となります。

 

 

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何か対策はできた?


まず、相続税を軽減する特例として一般な、小規模宅地などの特例と配偶者の税額軽減についてみてみましょう。

【小規模宅地などの特例】

自宅や事業用地を最小限確保するための特例で、相続などによりマイホームを取得した場合には、330㎡まで相続税の評価額が80%と大幅に軽減されるもの。 

 

適用のための要件が定められており、非同居の親族が相続人の場合には、自己または配偶者の所有する家屋に居住したことがないこと、相続税の申告期限まで家屋に居住、宅地等を所有することなどが要件となっています。

 

高木さんの場合には、これらを満たさないため、この特例は使えません。

【配偶者の税額軽減】

配偶者については、被相続人の財産形成への貢献や亡くなったあとの配偶者の生活への配慮などから、課税価格1億6000万円まで、あるいは、配偶者の法定相続分相当額まで相続税がかかりません

 

高木さんの場合は当然ながら配偶者でないので、これには該当しません。

 

上記以外で、生前の贈与を含めた対策を考えた場合、次のようなものが検討できたといえます。

【教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置】

30歳未満の子・孫が、教育資金に充てるため、金融機関との一定の契約に基づき、その直系尊属(祖父母など)から受益権を取得等した場合、贈与により取得した金銭を銀行に預入した場合などには、その価額のうち1,500万円(学校等以外のものは500万円)までの部分については、贈与税が非課税となる制度です 。

 

祖父母(贈与者)は、金融機関に子・孫(受贈者)名義の口座等を開設し、教育資金を一括して拠出。この資金について、子・孫ごとに1,500万円まで非課税となります。
2013年4月1日から2015年12月31日までの3年間の措置でしたが、適用期限が2019年3月31日まで延長される予定です。

 

こちらの関連記事もどうぞご覧ください。
【相続】【税金】相続税と合わせて改正される贈与税については、何が変わるの? 教育資金の一括贈与って得なの?

 

【住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置等】

20歳以上で、合計所得金額が2,000万円以下の者が、直系尊属(祖父母、父母など)から住宅取得資金の贈与を受ける場合、1,500万円(2015年中の契約・良質な住宅用家屋の場合)までの金額にかかる贈与税が非課税となります。 これは暦年贈与の基礎控除額110万円と併用することが可能で、その場合には合計1,610万円まで贈与税がかかりません。

 

良質な住宅用家屋とは、省エネルギー性、または耐震性を備えた良質な住宅用家屋を差し、一般住宅の場合には2015年は1000万円となります。
なお、2016年以降は非課税金額が減額される方向性ですが、消費財が10%に引き上げられた場合には大きく枠が広げられる予定となっています。

 

【住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置等 非課税枠(万円)の予定】

適用期間 良質な住宅 一般住宅
2015年1月~2015年12月 1,500 1,000
2016年1月~2017年9月 1,200 700
2017年10月~2018年9月 1,000 500
2018年10月~2019年6月 800 300

 

 

【消費税が10%に引き上げられた場合の非課税枠(万円)予定】

適用期間 良質な住宅 一般住宅
2016年10月~2017年9月 3,000 2,500
2017年10月~2018年9月 1,500 1,000
2018年10月~2019年6月 1,200 700

(平成27年度税制改革の大綱より)

 

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【高木 幹夫さんのケース】

仮に、高木さんが2012年中の住宅取得の際に、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置等により1,600万円(2012年中の同措置の非課税枠は良質な住宅用家屋の場合1,500万円)の贈与を受け、また、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置により、子供の教育費として1,500万円を受けていた(全額が教育費として使われると仮定)とし、相続税の試算を行ってみます。 

 

この場合は、現金が3100円分少なくなることから、
課税遺産総額は7052万円
これによる相続税額の概算値は、約1,415万円となり、贈与を行わなかった場合と比べ、945万円ほど相続税が少なくなります。

 

これら贈与による対策を行った場合と、そうでない場合の将来資産額の違いを人生シミュレーションで確認してみましょう。実質的により多くの資産の移転が可能となっていることが分かります。

 

対策 相続税額 受けとる金融資産合計 65歳想定資産 85歳想定資産
なし 2,360 9,400 9,222 8,048
あり 1,415 10,350 10,243 9,153

(注1)単位:万円。 なお、住宅ローンは繰上返済を行わないものと想定
(注2)株式・金を含めた金融資産全体の今後の運用利回りを0.4%と想定

 

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その他の対策は何かある?


その他検討できるものとして、生前に父親が都心などの高層マンション(いわゆるタワーマンションなど)を購入する方法があります。

 

こうしたマンションは一般に、特に高層階になるほど実際のマンション価格(時価)とマンションの相続税の課税価格 (すなわち、建物の固定資産税評価額と土地持分の路線価評価額との合計)との差が大きく開いています。建物の固定資産税評価額や土地持分面積はほぼマンションの住戸面積により決まるといえ、一方でマンション価格(時価)は高層階になるほど、また南向きなどの場合プレミアムが乗って高額になるからです。

 

例えばマンション価格(時価)が5,000万円で、建物部分固定資産税が600万円、土地部分路線価評価額が1,000万円などの例があったりします。
このような不動産を活用し、相続発生前にマンションを購入、相続後に相続人がしばらく保有をつづけた上で売却することで、相続税が少なくできるケースもあります。 注意点としては、当然、不動産の価格変動リスクがあり、不動産売却時に購入時より大幅に下落した価格でしか売れないことも想定しなければなりません。

 

高木さんの例で、父親が生前に、株式や純金での運用ではなく、上記のような5,000万円のマンションを購入していたとすると、課税遺産総額は3652万円と圧縮されることになります。 この場合の相続税額の概算値は、約530万円と、なんと885万円ほどさらに少なくなります。

 

不動産市況の見通しにもよりますが、不動産売買にあたっての手間やコストを勘案しても、かなりの節税効果がもたらされることがわかります。特に、より高額資産者がより高価なタワーマンションなどを活用すると効果が一層高くなり、活用を検討したい方法だといえるでしょう。

 

シムラー高木 幹夫さんのキャッシュフローをシミュライズ・コアで見てみよう


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なお、本文中の相続税等の試算は、あくまで一定の前提をおいた試算値であり、実際の運用にあたっては、ご自身で税理士等への確認をお願いします。

 

  (注) シミュライズに登場するシムラーは全て仮名であ り、あくまで架空の人物です。 また一定の公表データ等をもとに分析・記事作成を行っていますが、必ずしもその正確性を保証するものではありません。 記事中の推計値は現時点のシミュレーション結果によるもので、読者の皆様が実際にシミュライズコアでご覧いただく際には、パラメータ等の変化により金額が 異なってくることも想定されますのでご注意ください。

 

 

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