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【運用】行動ファイナンスを学び投資力アップ-行動バイアスが与える影響を知って投資判断に生かそう④~代表性バイアス~

投資や資産運用の世界で、投資家の意思決定に影響を与え、合理的な判断・行動をしばしば妨げる「行動バイアス」 (先入観や偏見)。心理学をファイナンス分野へ応用し、金融分野における人間の心理面の影響を分析する「行動ファイナンス」を学び、投資の際のよりよい意思決定、投資力アップにつなげていきましょう。

 

代表的な「行動バイアス」(先入観や偏見)について、しくみや影響などをひとつずつかんたんに見ていく、このシリーズ。
第4回目は、ひきつづき認知バイアスの一種である、代表性バイアス (Representativeness Bias) についてみてみたいと思います。

 

(このシリーズでは、Michael M.Pompian,著、Behavioral Finance and Wealth Management (second edition) を参考に、その内容をかんたんにお伝えしていきます)

 

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行動バイアスについて④ -確証バイアス


今回は、認知バイアスの一種で、代表性バイアス (Representativeness Bias)についてみてみます。

 

【バイアスの説明】
人は、これまでの自分の経験と照らし合わせて直ぐに理解できない事象に直面した際に、過去の経験をもとに何らかのパターンにあてはめてその事象(の本質)を理解しようとします。 この思い込みによるパターン分類によって、直面した事象に関するその後の理解・判断を誤ってしまうことになります。

 

また、人は、確率的な事象を把握する際に、統計的に誤りであるにもかかわらず、自身のこれまでの思い込みによってその発生確率を捉えようとしてしまいます。これが代表性バイアスです。

 

有名な例が「ギャンブラーの誤謬」(Gambler’s Fallacy) です。
これは、独立したランダムな出来事が、それ以前に起きた出来事に影響されると考えてしまう傾向を指します。 コイン投げで、3回連続して表がでたとすると、次は裏が出そうな気がする、あるいは、次も表がでそうな気がする心理傾向です。実際には、次に表(あるいは裏)が出る確率は過去の推移によらず、常に50%です。

 

【投資判断におけるバイアスの影響例】

  • 投資判断を行う際に、その元となるデータサンプルの数(量)を正しく考慮せずに、少数のサンプルが全体の属性を表している(代表している)ものと誤って判断してしまう。

     

    例えば、ファンド・マネージャーの過去のトラックレコード(実績)を吟味する際に、過去数四半期、あるいは数年のみの実績で判断してしまい、ファンドのパフォーマンスがマネージャーの株式アロケーションなど真の実力によるものなのかどうかを統計的に検証するのに十分な量の実績データをもとに判断しない。

 

  • 株価が今低迷している特定の企業の株式が、今後企業業績が回復するバリュー株であるのか、それとも倒産するような企業なのかを判断する際に、その企業がバリュー株の代表とみなせる企業なのか、あるいは、倒産可能性企業群の代表とみなせる企業なのかを短絡的にパターン分類してしまい、本質を見失う。

     

    例えば、ある鉄鋼会社が最近倒産したとのニュースを受けて、投資対象として検討中の鉄鋼会社は倒産可能性企業群に属するとパターン分類し、それをもとに投資判断してしまいます。現実は、はるかに多くの鉄鋼会社が倒産せずにビジネスを続け、あるいは倒産せずにうまく買収されるという事実を忘れてしまうのです。

 

【バイアスの影響度チェック】
シナリオA:
佐藤さんは元大学野球の選手として活躍し、大学卒業後、体育教師になりました。佐藤さんには二人息子がいて、ともに優秀なアスリートです。次のうちどちらがより可能性が高いでしょうか。

  1. 佐藤さんは地元の少年野球チームのコーチをしています。
  2. 佐藤さんは地元の少年野球チームのコーチをしているうえに、地元のソフトボールチームの一員です。

 

シナリオB:
次のようなコイン投げの結果があります。あなたは、どちらの結果がより起こる可能性が高いと思いますか。

  1. 裏、表、表、裏、裏、表
  2. 裏、裏、裏、表、表、表

 

 

 

では、結果を見てみましょう。

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シナリオA:
回答2)を選択した人は代表性バイアスの影響を受けやすいといえます。佐藤さんが少年野球チームのコーチをしながらソフトボールチームに所属している可能性はもちろんありますが、より可能性が高いのは少年野球チームのコーチのみをしている場合です。 ソフトボールプレーヤーであることは少年野球チームコーチの代表的属性とはいえず、実際にソフトボールプレーヤーであることの方が少ないと考えられるからです。

 

シナリオB:
よりランダムに見える1)の方がより可能性が高いと感じる方が多いかもしれませんが、コイン投げは表裏の出る確率がともに50%であることから、1)、2)どちらも起こる可能性は等しくなります。 2)を選択した人は代表性バイアスの影響を受けやすいといえます。

  

【投資行動におけるアドバイス】
代表性バイアスの悪影響を受けるのは、自身の決めたパターン分類によって、統計的に正しい結果が見えなくなってしまうことが原因です。
ここでは、典型的なケースをもとにアドバイスをおこないます。

  • まず対象を短絡的にパターン分類してしまわずに、常に、その対象がどのようなグループに属するのか、それぞれの統計的な確率をきちんと考えることが大切です。 それにより、パターン分類による判断の誤りを避けることができる可能性が高まります。
  • 上記ファンドマネージャー例のように、限定的な実績データのみで判断してしまうことを避けるには、次のうな点を確認することが大切です。
    1) 対象のファンドの同種ファンドとのパフォーマンス比較
    2) 対象ファンドのマネージャーの在職期間の確認
    3) 対象ファンドのマネージャーは認知度、および評判の確認
    4) 対象ファンドの運用方針は一貫しているか、それとも市場環境によってしばしば変更されてきたかの確認 

 

行動ファイナス、行動バイアスについて (ご参考)


従来の経済学や投資理論の世界では、「人は完全に合理的な判断のもとで自己の利益のみを目的に行動する」ことが大前提になっています。ところが現実の世界ではそのようなことはなく、実際の投資の世界では、先入観や思い込み、短絡的な判断をもとに投資の意思決定を行うなどということが多くみられ、また、そのような行動が市場全体に大きな影響を与えているケースがみられます。

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行動ファイナンスは心理学をファイナンス分野へ応用することで、こうした人々の投資行動がどのように起こるかを理解しようとしたもので、2000年3月のハイテクバブル、2008-2009年の金融危機などの際に特に注目が集まりました。 行動ファイナンスは個々の投資家レベルの行動から市場全体レベルの現象までをモデル化し解釈しようとします。すなわち

  1. 伝統的な経済理論における合理的な行動者から逸脱する投資家個人の行動やバイアス(先入観・偏見) (行動ファイナンス-ミクロ)
  2. 行動ファイナンスモデルにより説明できる効率的市場仮説に対するアノマリー (行動ファイナンス-マクロ)

の検証を試みるものです。

 

ここでは「行動バイアス」について、個人投資家の投資判断に与える影響をみていきます。

 

行動バイアス(先入観・偏見)は、投資家の心の底に潜むもので、誤った認識にもとにした理由づけや、感情や気持ちに左右された理由づけにより導かれる非合理的な金融判断をもたらすものです。投資行動における行動バイアスの影響を理解することによって、投資家はよりよい投資結果を達成する可能性が高まると期待されます。

 

「行動バイアス」は大きく次の二つに分けられます。

  • 「認知バイアス」 (Cognitive Bias) は、統計的な誤認、情報分析上の誤解、記憶違いなどによって、合理的な思考からはずれた(投資)判断をもたらすもの
  • 「感情バイアス」 (Emotional Bias) は、自然に生じる感情や態度によって合理的な判断を狂わせるもの

 行動バイアス図

バイアスの影響を理解し、克服することで、よりよい行動(投資判断など)が可能となることから、ここでは、代表的なバイアスの仕組みや影響について、順番にかんたんな説明をしています。

 

なお、本セクションでは米国のMichael M.Pompian,著、Behavioral Finance and Wealth Management (second edition) を参考に「行動バイアス」についてまとめています。 ご興味のあるかたは、ぜひ原書をご覧ください。

 

 

 (注意)ここでのご説明は、投資に関する一般理解のみを目的としているものであり、投資アドバイスに代わるものではありません。投資商品の価額や投資から得られる収益は変動する可能性があり、投資元金を割り込む可能性があります。 全ての投資判断は100%ご自身の責任において行ってくださいますようお願いします。

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