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【支出】逆オイルショック 高くて困る国、安くて困る国はどこなのか? どこで下げ止まるか?生産調整はあるのか?

原油価格の急激な上昇はオイルショックとして不況を引き起こす原因だったが、原油価格の下落がもたらす影響もかならずしも良いことばかりではないようだ。

原油価格は年明け後も下落し、50ドルを割り、40ドルをめざし、2008年につけた30.28ドルをも視界に入ってきている。

どこの国が儲かり、どこの国が損をするのかを見てみよう。

 

原油価格の推移


下記のグラフは1986年から2014年までの超長期のヒストリカルなWTIスポットのグラフである。

WTIHIST

 

原油も産地によっていろいろな銘柄がある。WTIはアメリカ合衆国南部のテキサス州とニューメキシコ州を中心に産出される原油の総称であり、その他にもロンドン国際石油取引所(IPE)で取引されるブレント原油 (Brent Crude)も原油価格市場において主要な位置を占める原油のひとつであり、 主にイギリス北海にあるブレント油田から採鉱される硫黄分の少ない軽質油である。

 

その他にもドバイ原油等もある。

 

現在はWTIが世界的な指標となっている。WTIの先物は、ニューヨーク・マーカンタイル取引所 (NYMEX) においてNYMEX Light Sweet Crudeとして取引が行われている。

この先物市場が最大であるために、産出量のそれほど多くないWTIが主要な指標となっている。

 

前回の大きな下落は145.31ドルから30ドル近辺まで100ドル以上の下落であっただけに、30ドルでも止まるかどうかはわからない。

 下図では2014年後半からの下落のスピードが上昇していることが確認できる。

WTI

 

今起こっていることは簡単に言うと以下のようになっている。もちろん投機を行っている人も損得があるが、国レベルで見ると、

原油産出国 ⇒ 価格低下分だけ損 ×

原油輸入国 ⇒ 価格低下分だけ得 ◎

たとえば日本がサウジから原油を輸入していると、

10ドル下がれば

日本には10ドルプラス、サウジアラビアには10ドルマイナスになる。

 

原油生産国


ということは資源国といわれる以下の国はこのWTIの下落で大きく損をしている国々だ。

これらの国の通貨のなかでロシアのルーブルが大きく下落している。

米国は生産も多いが、消費も大きいために必ずしも大きく得をするわけではない。

 

【1日あたりの原油の生産量の多い国】

順位 国名 生産量(バレル)
1 サウジアラビア 1,152.5万
2 ロシア 1,078.8万
3 アメリカ合衆国(米国) 1,000.3万
4 中華人民共和国(中国) 418.0万
5 カナダ 394.8万
6 アラブ首長国連邦(UAE) 364.6万
7 イラン 355.8万
8 イラク 314.1万
9 クウェート 312.6万
10 メキシコ 287.5万
     
  日本(注) 1.2万

出典:経済産業省 資源エネルギー統計2013

各国の通貨

  • サウジアラビア サウジアラビア・リヤル レンティア国家*
  • ロシア ルーブル
  • アメリカ ドル
  • 中華人民共和国 人民元
  • カナダ カナダドル
  • アラブ首長国連邦 UAEディルハム GDPの約40%が石油と天然ガス レンティア国家*
  • イラン イラン・リヤル イランはOPEC第2位の石油生産国で、確認されている世界石油埋蔵量の10%を占める。また天然ガス埋蔵量でもロシアに続き世界第2位 レンティア国家*に近い。
  • イラク イラク・ディナール イラク経済のほとんどは原油の輸出によって賄われている。レンティア国家*に近い。
  • クエート クウェート・ディナール 石油が主要産業であり、世界第4位の埋蔵量 8世帯に1世帯が100万ドル以上の金融資産 レンティア国家*
  • メキシコ メキシカンペソ

 

*レンティア国家

  • 政府財源が国内の経済活動と殆ど関係ない
  • 国内における天然資源生産に従事者する労働者の割合が少ない
  • 国内における天然資源生産以外の生産部門が貧弱である
  • 天然資源に基づく収入が国家の経済活動に非常に大きな影響を与える
  • 天然資源に基づく収入の大半が輸出によって獲得される

 

レンティア国家では国内の経済活動によらず政府財源を賄うことが可能なことから納税負担が軽く、レント収入だけで国内需要をほぼ満たす供給が可能となるため、主要な労働力を低賃金で働く出稼ぎ外国人労働者に依存できれば、多くの自国民は国家からの恩恵で生活ができるため労働を敬遠する傾向が強くなるという特徴

 

原油輸入国


今回大きく得をしている国はどこか?

日本は原油輸入が大変多く3位にいる。日本の生産は極端に低く、純輸入国なので、大きく得をしている。

甘利明経済再生担当相は9日の閣議後会見で、原油安が進んでいることについて以下のようにコメントしている。

「原油価格がピーク時(1バレル=約100ドル)から3割下がると4兆円程度国内経済にプラスで、現在は5割以上下がっているので7兆円ぐらいのプラスになる」

【原油輸入国ランキング2013】

順位 国名 単位: 100万USドル
1 アメリカ合衆国(米国) 370,639.36
2 中華人民共和国(中国) 297,668.58
3 日本 174,116.36
4 インド 157,449.04
5 オランダ 138,458.77
6 韓国 131,036.62
7 シンガポール 117,273.18
8 ドイツ 112,813.53
9 フランス 81,845.73
10 ベルギー 67,682.52

出典:UNCTAD 

 

オイル価格の乱高下は産油国、輸入国双方にとって経済に良い影響は及ぼさない。とくに資源国の市場で危機が生じればそれが世界の市場に大きい影響をあたえる構図は

オイルショックでもオイル逆ショックでも変わりはない。

 

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